Column代表亀貝のコラム

「旧斎藤家・夏の別邸」問題・市議会で採択

date - 2008.12.19

この夏前から広報を担当しておりました「旧斎藤家・夏の別邸」存続問題の件ですが、ついにこの日を迎えることができました。
本日の新潟市議会で、請願が正式に採択され、新潟市が「旧斎藤家・夏の別邸」を購入することが決定されたのです。

これからも諸問題は山積みですが、壊されてしまっては終わりですから、とりあえず活動は一応の成果を出したことになります。

署名や募金にご協力いただいた皆様、この問題をwebや口伝てでお知り合いの方々に拡げていただいた皆様、旧斎藤家・夏の別邸が存続できたのは、ひとえに皆様のおかげです。本当にありがとうございました。

そしてこの半年近くの間、まさに粉骨砕身で保存活動に身を捧げられた「旧斎藤家夏の別邸の保存を願う市民の会」中心メンバーの方々に、心から敬意を表します。私はその中でも中心になって実務を進められた建築家の伊藤純一さん我が家を建てていただいた方でもあります)を側で見る機会が多かったのですが、一般公開1つとっても、事前の掃除(あの広大な庭園と邸宅をボランティアで掃除するのです!)、資料の準備、コピー、資材準備、広報活動、池の水入れ&水抜き、スタッフ確保、スケジューリング、各種クレーム対応、と大変な準備を要します。終わった後は発起人会に報告するための資料、会議の準備、関係者へのDMの発送、それこそ息つく暇のないほどやることは多いのです。ましてや皆さん忙しい本業をお持ちの方ばかりで。発起人リストはご覧のようにとても多いのですが、上記のような実務を常にこなしている人はと言えば、ほんの2〜3人なのです。本当に大変だったと思います。

まだまだこれからもやる事は多いですが、ひとまずはお疲れさまでしたと申し上げたい。言ってみれば「残って当然」の話だとは思うのですが、万が一民間に売却されて取り壊しにでもなっていたらと思うと、本当にぞっとします。

そして旧斎藤家・夏の別邸の向かい、北方文化博物館新潟分館で始めた「にいがた空艸舎」。何故この場所で始めたのかを説明する時に、旧斎藤家・夏の別邸の今後は抜きにして語れません。

存続決定の日を迎えて、これまでの3回の一般公開のことを思い出します。大した広報ができた訳ではありませんが、回を重ねるごとに多くの方にいらしていただきました。どの方も庭園と建物に感動されているのが、その様子を見てありありと分かります。ただその中でも、実際の購入費・維持費を聞けば「ちょっとねぇ…」と一概に賛成しかねる方もいらっしゃいます。一方、街頭署名に立った時は、このような問題に興味を持たれる方の割合というものを肌で感じることができました。驚くほど少ないのです。古い建物を維持することの問題点、ただ「勿体ない」では済まされない多くの課題をこれからも解決していかなければなりません。

じゃあ古い建物を壊して新しい建物を建てるが良い事なのか。結局ハコモノや公共工事を増やさなければ景気は回復しないという従来の理屈は、これからもずっと通用するのでしょうか。入居者なんていないよ、と陰口を叩かれながらも建ち続けるあのマンション群は、これからの新潟に何をもたらすのでしょう。恐ろしいです。古い建物の無いまち、想い出の無いまちになってしまうのが恐ろしいです。

この地域の将来が、我々皆にとって、住民の方達にとって、喜ばしい形になりますように。非力ではありますが、今後ともできるだけのことをお手伝いさせていただきたいと思っています。