白鳥建二さんの新潟滞在・まとめ
2024年の4月〜6月の3か月間、新潟市の「ゆいぽーと」に、全盲の写真家・美術鑑賞家である白鳥建二さんが、アーティスト・イン・レジデンス(AIR)で滞在されていました。
私は以前からノンフィクション作家・川内有緒さんの大ファンで、その著書『目の見えない白鳥さんとアートを見に行く』を通じて白鳥さんに興味を持ち、映画化のクラウドファンディングにも参加、昨年にはシネ・ウインドで鑑賞もしていました。
以後は、この3か月間で白鳥さんと一緒に行ったことの備忘録です。
AIR終了後の今も、新潟滞在記的なものを制作するプロジェクトが進行中です。
目次
アーティスト・イン・レジデンス概要説明会に参加
【4/7】
ゆいぽーとでのAIR概要説明会に参加。およそ30人ほどのいらっしゃってましたが、これはゆいぽーとの同様の説明会よりもずっと多い人数だそうです。ほぼ「全盲の美術鑑賞家」として認識していた私は、ここで初めて白鳥さんの滞在目的を聞ことになります。以下当時のFacebookポストより引用
ゆいぽーとでの白鳥健二さんアーティスト・イン・レジデンス概要説明会、ある意味衝撃的な内容でした。
のっけからお酒やおつまみ、おやつが用意されていて酒盛り前提(当然呑める人はあまりおらず)で、今回のAIRの趣旨が説明されたのでした。「初めての街で、生活するように、日々小売店へ行き、飲食店へ行き、散歩をする。
その時に撮れた写真を、noteに毎日投稿します。
独り言やエピソードなど、短い文章と合わせて、活動報告となります。
目標は、100軒飲み歩きです。」(配布資料より)で、
一番大切にしているのが「人との交流」であると。だから呑みに誘ってもらうのもOKだし、お店を紹介してもらうのも大歓迎。ただできるだけ徒歩圏に限りたい、とのこと。
今後3か月の予定は特になく(オフィシャルなWS等も今後企画されると思いますが、未だこれから状態)、毎日散歩と飲み歩きをして(なにしろ90日で100軒ですから)いるので、ぜひ声を掛けてほしいと仰ってました。川内有緒さんの以前からのファンで、書籍も映画も見ている自分としては当然、「写真作家として滞在されるので、一緒に美術鑑賞するチャンスはあるのだろうか」と思ってしまうのですが、これは本人に直接伺って了承をいただきました。一緒に美術鑑賞のお誘いも、アリだと。
なんと…。
自分で企画できるんだ…。こんな機会が自分に訪れるなんて…。
さてさてこの3か月、中央区で開かれる展でどこに行こうかなと考えています。
BarBookBoxでご一緒する
【4/14】
白鳥さんを連れてBarBookBox訪問中の五十嵐奈緒子さんからいきなりお誘いがあり、同席。
いろいろお話する中で、ディレクターとして新潟滞在記や記録的なものを依頼されることになる。
写真:五十嵐奈穗子さん
白鳥さんを囲む呑み会
【4/23】
事務所で、白鳥さんを囲み総勢5名で親睦呑み会を企画。Facebookポストより引用
以前近所で白鳥さんと少しお話した際に、白鳥さんの新潟滞在MAPのようなものを依頼されていて、その打ち合わせと称した呑み会。白鳥さんとのMAPつくりなんて面白そうなことは、色んな人にワイワイ意見出してもらいながらやった方が楽しいに決まってる、と思い、そしてこれはいいわーて面子が集まって…
そんな想像以上に、めちゃくちゃ楽しくて、異様に盛り上がった時間でした。
調子に乗って相当呑んじゃったので(でも白鳥さんは全然変わらない)、忘れちゃわないうちに記録を残したい!でも今二日酔い絶好調なので、箇条書きで失礼。●白鳥さんが居るおかげで結構な時間を参加全員の自己紹介に費やしたのだが、面白かったー。そこそこ知り合っちゃうと、例えば生い立ちとか両親や家庭の話とかって、聞くチャンスがもうなくなっちゃうじゃない?あとやっぱりアートへの接し方ていう側面も見られたりとか。これまで知らなかった、あのひとこの人の別の面も見ることができたり…。
あれ?白鳥さんを介してお互いの違いを聞けたりするこの面白さって、本で読んだ「白鳥さんとの美術鑑賞」体験にも似てない?とか。
●白鳥さんの飲食店の見方が、面白い。
結局最終的には目が見える・見えない関係無く、同じような評価の仕方・観察になっているのはそうなんだけど、彼の場合、その前段にビジュアルの影響が一切無い。当たり前だけど。あとメニューとか見えない訳だから、必ず「人と関わる」ことが前提になる。なのでちょっと見える人とは違う入り方をしていて、印象深い言葉や体験が聞けるのかな、と思ったのだけど…。
それもこれも結局は「白鳥さんだから」ということなんだろうな。
●当たり前なんだけど、でも改めて「自分達が決して離れられない『ルッキズム』の軛から、完全に逃れている人なんだ…」とは思った。ゼロ・ルッキズム。憧れる。だから初対面なのにこんなに和やかに盛り上がるのか?別に関係ないのか?
●ちなみに白鳥さんと自分は1歳違いの同年代!
●そんな白鳥さんの興味深い話を大盛り上がりで聞いてた、あの昨晩の「へー!」な感じを、そのままMAPに落とし込みたくて、すぐにその場でいろいろアイデアが出てきました。もはやMAPではないかも知れないですが。想像しただけで、自分が欲しい!
●改めて白鳥さんという存在の不思議さに思い入ります。まだまだ分からん〜。
●白鳥さんとの美術鑑賞も楽しみ!参加されたい方は連絡ください。
●メモ
「汁も、つまみになるよ(店主)」
「ドリンクオーダーを取りに来ない店」
「ノブで分かる」
本当に楽しい夜でした。参加してくれた皆さん、ありがとう〜
これはまたやるしかないよな。
※吞み屋100軒制覇を目指す外食続きの白鳥さんの身体が心配だったのだけど(自分は外食が3日も続くとギブ…なタイプ)、真っ先に聞いたら「お酒でなんとかなってる」って言ってて…それダメっしょー!笑 自炊しましょーよ。
映画『目の見えない白鳥さん、アートを見に行く』自主上映会を開催
【5/23・25】
映画館での再上映はスケジュール的に叶わなかったので、自ら自主上映会を企画。実施にあたっては五十嵐奈穗子さんに多大なるご助力をいただきました。本当にありがとうございます。
以下Facebookポストより
今回初めてお借りした「座・タイム」さんは、古町・丸屋本店さんの裏の老舗「コットンハウス39」さんの2階。上映会場の広い前室は、喫茶店のように落ち着くスペースになっています。今回はこちらで物販も行い、結構な売れ行きがありました。
販売したのは
『読み返すことのない日記』はじまりの美術館滞在時の記録
『目の見えない白鳥さん、出雲を撮る』出雲での写真展の図録
カレンダー
映画パンフレット
原作本
で、『読み返すことのない日記』は用意した分すべて完売でした。ありがとうございます。上映会は2日間、計3回行い、2週間ほど前からの告知にも拘わらず、総勢70名以上の方に観ていただきました。情報をご紹介、シェアしていただいた皆さん、ありがとうございました。
2日目の土曜は、2回あった上映後のいずれでも白鳥さんを迎えたトークを行いました。いつものごとく昼からお酒の入っている白鳥さんですが、全然感じさせないしっかりしたトークで毎度驚きます。というかお酒が入った方がしっかりノれている感じがします。お酒入ってないと元気ないんですよ笑
上映後は「面白かったよ!」「観終わった後に実物の白鳥さんを観れるのが良かった」というご意見をいくつもいただきました。映画をきっかけに原作を読まれた方もいらっしゃいます。開催できて何よりでした。
※写真は最初の2枚が五十嵐奈穂子さん撮影、残りは五十嵐政人さん撮影です。
白鳥さんと初めての美術鑑賞会
【5/24】
新潟市の福祉施設「さんろーど」さん(→当社でパンフレットも作成しています)の知り合いにお願いして、初めての美術鑑賞会を企画・実施しました。
最初は自己紹介と白鳥さんからの説明などをやって、それから作品鑑賞。基本なにを話してもいい。思ったことを自由に話してほしい。など
遠慮は最初の数分くらいで、参加者それぞれに思ったことを話し始める。美術館ではないので人の目が気にならないのも良かったのか。たとえば↓↓この絵で出て来た会話は「銀杏の枯れ木?森?」「スクランブルエッグにソースかけた?」「背景の青はなんだろう」「分からないけどこの色バランス、好き。いい」
あれ?近くで見ると金粉みたいのが全体に流れてるよ?「こっちからは見えない」こっちは見えるよ?ほんとだ。やっぱり焚き火じゃないかな。これが枝で、葉で、この金粉は煙だと思う。
そのうち衝撃発言が。「この右上の小さい点、夜空の満月じゃない?森から満月が見えてるんだよ」
自分とはまったく違う見え方の話も、言われるともうそれにしか見えなくなる。だから、1つの絵を見ている10分15分の間に、世界はどんどん変わっていった。後で思ったけど、あれは旅だ。旅のようだった。どこに連れて行かれるかまったく分からない旅。中でも、あの「満月じゃない?」は衝撃だった。ものの見え方って、言葉でこんなに変わるんだ。
というか見え方というものがいかにに(無意識で)作為的なものなのか、痛感する。↓↓この生き物の絵も、施設の人は楽しい絵だと思っていたのに「これは脚?」「いや、皿に盛った肉を食べてるんだよ」「いや、池から今出てきたところじゃない?」「怖い!貞子!」「何故右手が緑で左が赤?」「池から出て来て『あなたの落とした手袋は…』ってやつ?」「背景の点は?」
普段言語化がとても苦手で、正直こういうSNSの文章書くのだって四苦八苦で苦手な自分だけど、この時は言語化が楽しくて楽しくて、なんのハードルも感じない。自己紹介で「私なんか全然詳しくなくて…」と大人しかった女性もどんどん話してくれる。
「これ満月じゃない?」と言ったのは彼女だった。見ている間白鳥さんはほとんど相づちか、たまに質問する位。へぇ〜面白いね〜と言う位。
そんなこんなで、初めての白鳥さんとの美術鑑賞会は終わった。最大の謎
「白鳥さんがいないとできないのか」
これは、結論から言って、多分できない。実際この後別の場所でやってみたのだけど、それは同じようでいて、意味も内容も変わってしまった。言葉は「誰に話すか」によって全然変わってくるのだ、ということが、白鳥さんとの時間を通して分かった。
彼は言う「皆(話しているようで)ぜんぜん話してないんだよ。実は。」「相手も同じものを見ているから、同じことを考えている筈だ。家族(夫婦)なんだから、分かっているに決まってる」と思って、わざわざ説明しない。話さない。省略する。
トラブルの原因の多くって、ここが原因じゃない?
家族でなくたって、友人だって。
だから家族にだってこんな風に話せたらいいのに、と思っちゃう。この体験を、普段の生活で再現できたらいいのに…。でもそれは、おそらく相当に難しい。というか無理。
(白鳥さんも「それは、自分も無理なんだよね」とおっしゃってました。だからこの場の会話は、アートの力なんだろうなぁ、と自分は思うのだけど、それを白鳥さんに言うと「美術好きな人はそう言いがちだよね笑。でもどうなんだろ、あまり関係ないような気もする」だそうで)体験を終えた後にすぐ思った。川内有緒さん、こりゃ書くわなと。書きたくなるでしょうと。他のさまざまな方々が、白鳥さんの謎を追う理由が分かる、と思った。「目の見えない」だけではない、「白鳥建二」さんの秘密。
鑑賞は全部で3作品だけ。
1時間とすこし。長い長い旅をした気分。
福祉施設の一部屋で開催したこともあって、途中でメンバーや作り手の皆さんが入ってきて、白鳥さんに質問したり、「私にはこう見える」と意見を言ってくれる雰囲気もすごく良かった。
セッティングしてくれたさんろーどさん、中嶋梨沙さん、ありがとうございました!おかげさまで忘れられない時間を過ごすことができました。
アートを見る時に知らずと内面化してしまってた部分が少し分かった。新しい楽しみ方も知って、また一層好きになることができたな。少し前のことだけど、初めての鑑賞体験のレポートでした。本を読んだり、他の人の体験記を読んで「自分も参加してみたい!」と思った方、白鳥さんのAIR終了後でもまた呼ぶ企画をぜひ考えましょう!
このさんろーどの後に、前述のBarBookBoxで開催中だった「枝村ゆき個展 Phantasia」にもハシゴで行ったのですが、ここでは早々に白鳥さんが呑みに入ってしまい、これは「0.5開催だな」と皆で言っていたのでした笑。ここでの体験もとても面白く、忘れられないものになりました。
医学町ビルナイト開催
【5/31】
コロナ禍前には定期的に開催していた「医学町ビルナイト」のことを白鳥さんに話したら「面白そうだね」と言っていただいたので、これを機に復活開催しました。
多分COVID-19禍以前ぶりの「医学町ビルナイト」。ほぼ寸前の告知だったにも拘わらず約10人の方に参加いただきました。
今回、いつもにもまして自己紹介タイムが盛り上がり、皆が中高生の時代の話から始めるという流れで、それがむっちゃ面白かったのですが、開始5時間半経った0時過ぎにもまだ全員分が終わらず…。後から参加の方に至っては自己紹介さえ回せなかったという始末でした。反省しています。すみません!
しかし面白かった…この流れはどこかで?と思ったら、あれです。岸政彦さんの『東京の生活史』ですよ。まさに『新潟の生活史』のような時間が、あの日医学町ビルで過ぎていきました。さらにツッコミし放題なのが楽しい。
今回は「目の見えない白鳥さん」ことAIR新潟滞在中の白鳥建二さんにも参加していただき、こういう会が好きそうな白鳥さんにも楽しんでいただけたのでは…と思っています。彼の新潟吞み屋巡りの話も、皆さん興味津々でした。
再開のきっかけや気合いを掴めずにいた「医学町ビルナイト」ですが、白鳥さんの「面白そう!」の一言で背中を押してもらいました。これからことある毎に、開催していこうと思います。
初めての方もお馴染みの方も、満遍なく楽しめるような場だと思いますので、ぜひ遊びに来ていただけると嬉しいです。ちなみに今回は5人?6人くらいがお初の方でした。
驚愕なのが白鳥さん映画の自主上映会きっかけで医学町ビルナイトにいらしていただいた女性が、私の高校時代の同級生で隣のクラスだってことが分かったりとか(お互いは知らないのですが)。まーいろいろありますな。
参加の皆さん、ありがとうございました。
ゆいぽーと滞在報告&座談会
【6/19】
AIR先のゆいぽーとで行った滞在報告&座談会にMCとして参加。告知文は以下の通り
全盲の写真家:白鳥建二 滞在報告&座談会
「新潟3か月のまちめぐりで、出会った店・好きな店」
全盲の写真家としてゆいぽーとにアーティスト・イン・レジデンス(AIR)滞在中の 白鳥建二さん。彼は90日間の滞在中に、徒歩圏の新潟の吞み屋さんを100軒廻るという目標を掲げ、日々まちに出掛け、新潟のひとたちと交流してきました。
晴眼者でも恐らく経験する機会は殆どないであろう「徒歩100軒巡り」を通じて感じた「好きな」お店とは?普段私達は「好き」について、一体どれだけ意識的なんだろう…などなどを、座談会形式でお話します。お酒も吞みながらのフランクな会です。持ち込みも自由。振る舞い酒もあります。
参加料は無料です。ぜひ夜のゆいぽーとへ、遊びにいらしてください。
日程|2024年6月19日(水) 19:00~20:30
場所|ゆいぽーと 工房・ギャラリー1
参加費|無料(事前申込不要)
定員|30名程度
企画協力:(有)カメガイアートデザイン
以下はFacebookポストより事後報告
6/19白鳥さんの滞在報告会、ご来場の皆さんありがとうございました。
ご本人の意向で、あまりファシリテーションしないように、分かる奴だけ分かれば良い的な方向性で行きたい!となったのですが、そういうのはあまり慣れてなくて、まぁ私達は面白かったのですが、いかがでしたでしょうか。感想などコメントいただけると嬉しいです。ゆいぽーとを出た後も2軒ハシゴして、かなりぐでんぐでんになりました。やーこれがまた(座談会で話したような意味の)良いお店で最高でした!
いらしゃった方のお話を聞くと、やはり興味の焦点は
「目の見えない人ってお店の善し悪しをどう感じてるの」
「目の見えない人が100軒呑み歩くってどういうこと?」
などでした。それに対す白鳥さんの回答は、結構お話していただけたのじゃ…と思います(自分も酔っ払っていて良く憶えていない)。
たしか終了後に行ったのは…「よもぎや」だと思うのですが、もう白鳥さんと行ったお店多すぎて記憶が!笑。
でも本当に、彼なしでは知る機会のなかった、素敵なお店をいくつも知ることができました。本当に感謝です。
新潟市美の美術鑑賞会とお別れ呑み会
(ここまでの期間に、別の方が企画された鑑賞会にも参加しています)
新潟市美術館の「遠藤彰子展〜巨大画の迷宮にさまよう」で、最後の美術鑑賞を。
(この企画展はALL写真撮影OKです)
巨大画の展示と聞いていたのに、最初の展示が何故か立体作品で驚きかされます。白鳥さんがまず最初に、この作品を鑑賞対象として選びました。
この獅子、良く見ると全身がさまざまなアクセサリーで覆われていて、地も何でできているのか想像がつきません。金属?陶器?
最初はアクセサリーの影響か、どことなくカワイイ印象さえあった獅子なのですが、時間をかけて見ているうちに、パーツパーツがそれぞれ不穏なモチーフを表しているのでは、という疑念に駆られてきます。特に尻尾は何でできているのかも見当がつきませんが、何匹かの蛇?化け物が絡み合ってこちらを脅しているかのよう(シン・ゴジラのアレみたい)。最初可愛く見えたボタンのような目が、そのうち○○に見えてきて…
皆が話すそんなさまざまな「見え方」を聞いているうちに、獅子の雰囲気がどんどん変わっていきました。
次はいよいよメインの巨大画コーナーへ。
タイトルからある程度想像はしていましたが、でも桁違いでした。本当に。一番大きいものは、大袈裟でなく1つで20点くらいの作品を見ているようなボリュームです。
鑑賞も、2作品目はまだ小さめのもので(と言っても大きい)、まだぎりぎり全体の把握ができたのですが、
3作品目の本当に巨大画に至っては、「これ1時間話してても足りないんじゃない?」と思うほど。左右は10mほどもあったでしょうか。
この展示、本当にボリュームがあるので、多分一人で来ていたら、1作品に10分以上も見ることはなかったでしょう。
「白鳥さんとの鑑賞会」のおかげで、1つの作品を長い間見続け「なぜ?」「ここはなぜこうなの?」と問い続けたおかげで(そんな画風なんです)、画の構成が隅々まで頭に入っていて、記憶に残りました。今でも結構な再現度で、思い出すことができます。
相当強烈な体験でした。
鑑賞後は場所を移してアフタートークへ。
最後なので白鳥さんの美術鑑賞について改めて聞きました。
曰く「鑑賞会に成功・不成功なんてまったくない。これは本当で、どれもそれぞれに超個性的で、面白い。」とのこと。
参加する人や題材によって盛り上がる・盛り上がらないがなどありそう…と思うのですが、そうではなく、どれもまったく別のものだと。
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私が白鳥さんとの鑑賞会で大好きな瞬間は、参加者からの思わぬ目線や、解釈を聞いている時です。
「うわー!」って驚いて、感動します。そして時間が経つにつれて、同じアートの見え方が変わっていくあのダイナミズム。1つの美術作品にこんな楽しみ方があるなんて、白鳥さんが新潟に来るまで体験したことがなかった。白鳥さんはもちろんですが、「参加者同志のコミュニケーション」がアート鑑賞と一体になり思ってもみなかったところに連れて行かれる、あのトリップ感が、自分の思う、白鳥さんとのアート鑑賞の醍醐味でした。だから何度でも体験してみたいですし、今後もアート鑑賞をしている中で「ああ、これ白鳥さんと誰かと一緒に見てみたいな」と、しょっちゅう考えてるんじゃないかな。
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鑑賞会終了後はいつものように古町へ!
この日は平日だったのですが「行く前に電話した方がいいよ〜」と白鳥さんに言われ、自分の目的の店に電話したら…あっちもこっちも満席!ええ〜平日なのに…。
給料日後とは言え、平日でも古町の飲み屋街はこんなに混んでいるんですね…知りませんでした。
一軒目は、これも自分ではちょっと敷居高めに「見えて」、行かないだろう割烹。お通しからホスピタリティから、とっても居心地良いお店でした。そんなにお会計も高い訳ではなく、とても楽しかった…。
二軒目は私の知ってる居酒屋でいろいろ締めもいただいて、お別れしました。
この「いつものように」感というか、「今日も白鳥さんはどこかで呑んでいるんだろう」感がなくなることが、ちょっとピンとこなくて。
いなくなっちゃってしばらくたった今も、どこかで白鳥さんが呑んでいるような気がするんです。彼の影が、まちなかに残っているかのよう。
随分と長い記事になりましたが、白鳥さんAIR3か月間で、亀貝が関わったことがらの備忘録でした。
今後も滞在記の発行などに絡めて、白鳥さんを新潟に呼ぶことができればと考えています。
白鳥建二さん、新潟滞在おつかさまでした!またお待ちしております。