建築の理念
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どうしても必要でない限り、新しい建物は建てない。最も責任の果たせる行為は、中古の建物、建材、備品を買うことだ。2
古い建物、歴史的な意義を持つ建物が取り壊されそうになったら、それを救う努力をする。構造に変更を加えるときは、いかなる場合でも、建物の歴史的な品格を損なわないようにする。前の入居者が行った見当違いの「改善」を正し、うわべだけの現代的な外観をはぎ取り、できればその建物が「近隣への贈り物」となるように心がける。3
古い建物の修復でまかなえないときは、質の高い建物を建てる。その建物の美的な寿命と、物理的な寿命とは同じ長さにならなくてはいけない。4
鉄製の梁や金具、再加工木材、藁のブロック(ストローベイル)など、再生された、あるいは再生可能な建材を使う。什器も、圧縮したひまわりの種の外皮や農産廃棄物などの廃棄材を使う。5
建造したものはすべて、修復可能で維持管理が楽にできなくてはならない。6
たとえ初期費用が高くついても、できる限り耐用年数の長い建物を建てる。7
どの店舗にも個性を持たせる。その地域の英雄的人物、スポーツ、歴史、自然景観を反映し、尊重すること。イヴォン・シュイナード『社員をサーフィンに行かせよう〜パタゴニア創業者の経営論〜』より、パタゴニアの直営店・オフィスビルを建てる際の建築指針