Column代表亀貝のコラム

「本の海に潜る日 inspired by 沈思黙読会」第2回レポート。

date - 2025.05.28


さる4月20日(日)の8:00〜13:00に、「本の海に潜る日」の第2回を開催しました。

開催に至る経緯や趣旨などは初回開催時のレポートをご覧ください。

「本の海に潜る日 inspired by 沈思黙読会」開催しました。

開催概要

昨年7月の開催から随分時間が経ちましたが、無事第2回を終えました。
しかも終わってからレポートを書くまでも1か月近くかかってしまいました。申し訳ない…。つたない記憶と、主催メンバーの詳細なメモや文字起こしに助けられつつレポートを記そうと思います。

会場・時間は前回通り。医学町ビル201号室です。季節もちょうどよく、エアコン無しで過ごすことができました。来年もこの時期には開催したいです。

参加者は前回に引き続きの主催チーム3名に加えて6名、総勢9名。6名のうち半分のお三方が新規参加で、主にXの投稿で知ったそうです。Xはあまり見ていないので、今後もちゃんと告知していかなきゃな…と実感します。

タイムスケジュールも前回通り

朝の8時開始
11:45まではひたすら読書。
11:45からはアンケート書き。12:00からはランチタイム。
12:20頃からアフタートーク。コピーをとってお返ししたアンケートをもとに、読んだ本の感想というより「読書体験」自体についてのお話をお聞きしました。

(その他)
ドリンクやお菓子は用意していましたが、途中で買いに出るなども自由。スマホを切る他、WEBは一切見ないことが決まりです。
本は何冊でも好きなものを自由に持ち込んでいただけます。会場でも10冊程度の本や30冊程度の個人所有のzineを用意しておきました。
お弁当は今回「むすびや百」さんにお願いしました。個人的にも古い知り合いですが、本当にいつも美味しいごはんとおかずを作る方です。

感想

私個人の感想は、初回がやっぱり相当特別だった感じ。
1冊の本に驚くほど集中して他の記憶もあまりないまま終わった前回に比べ、今回は1冊を途中で中断し、他の本を何冊か併読していました。今回特に感じたのは「時間の進み方が変わる」感覚。前半と後半、どっちがどっちだか忘れちゃったけど、時にゆっくりに感じたり、時に早く感じたり。時間がうねうねと伸縮しているようでした。そう言えば前夜は友人達との呑み会。呑み会明けの沈思黙読会とは、なんて贅沢なんだろうと思った記憶があります。そのためもあってか、今回は結構途中で寝ていました。その居眠りが気持ち良いこと!

前半で読んでいたのは、イリナ・グリゴレ『みえないもの』(柏書房)。ルーマニア生まれで日本に留学後、日本に定住しフィールド−ワークを進める文化人類学者である著者が「日本語で」書いた著作。訳者は存在しない。この日本語の感覚が、どこか不思議。ほかの日本語の本とは読んでる気持ちの何かが違うのです。この不思議な文章はずっと読んでいると少し体力を消耗しているのか、途中で他の本を読みたくなって、後半は何冊か併読状態でした。おかしは常に食べていました。

アフタートークの内容

読書体験の話では
「夜中に起きて眠れない時に、知らない人の日記を読むと眠りにつける」
「何か書きながらでないと頭に入ってこない」などがありました。
スマホ無しでの純粋な読書は、今や筋トレが必要というような斎藤真理子さん(沈思黙読会発起人で新潟市ご出身の翻訳家)のコラムも紹介させていただきましたが、さらにトレーニングを積んだらもう少し集中できるかな。鍛えていきたいな、というような話も。
他人のおやつを食べる音に安心したり、気になったりと聞こえ方もさまざま。
初めての方はやはり「スマホを見ることができない」状態での純粋な読書体験に感動されていました。
また、仕事柄常に電話に出られる体制でないといけない方(そういうお仕事だって当然あるんですよね。いつもご苦労様です!)が、職場に申請して当日はオフにしているという話も…それはさぞかしホッとするのでは、と他人ごとながら思います。

今回、アフタートークきっかけで、6/7(土)に開催するニイガタブックライト関連イベント
小さなお話会『寝ころんで話そう「私のフェミはここから」』

『寝ころんで話そう「私のフェミはここから」』


に参加してくた方もいらっしゃって、そんな繋がりも嬉しかったです。

参加者アンケート

ペンネーム・アカウント名:飯塚菜央

最初に読んでいた字と写真の本と
字のみの本とでは読んでいる時の情景のくるまれ方がちがうことにきづけた.
(字と写真の本 → うしろまでぐるり みたいな感じ)
(字のみの本 → 前の方のみ みたいな感じ)

前回もそうでしたが
ふだんとはちがう
時間の流れ方を感じます
早くもなく 遅くもない時間の中
あきもせず 夢中になりすぎもせずに
本を読みつづけました.
いつもだったら
ここでスマホひらいて調べたり
情報を補完しようとするな~
ポイントもいくつかあった.

ペンネーム・アカウント名:れっど

寝る前に読書をしようと思い本をベッドまでもっていくのですが…
スマホをみてネットサーフィンをして本が読みすすめられないことが続いていた。
こま切れに読んでいた本をストーリーを感じかみしめながら読書でき清々しい。
朝苦手で早おきをして.8:00~本を読むことはできるのだろうか?と心配していた。会場についたときはなんとなく眠くて、身体もしゃきっとしなかったことがウソのように集中して本に向かい、本にふれあうことができ、頭の中がクリアだ。
ふくすうのタスクをこなさないといけない…と何かを考えながらする読書とはちがった。
「みんなが読書をだまってする」といういたってシンプルなことではあるが同じ空間で同じことをしているだけで(話もしていないのに.)妙な一体感があり心地良い。
日常とは情報や音にあふれている世界であると感じた。
内省できるこの時間のファンになった私です。また参加します。
以前このスペースに出店イベントにきてにぎやかなイメージがありましたが沈黙という空間もステキです

ペンネーム・アカウント名:なかえゆうこ

2回目の開催。初回と同じく明治アーモンドチョコを傍らに臨む。うすぐもりのやや涼しい気候。ひざかけ毛布にくるまると心地いい。10冊くらいの本やzineをあっち読みこっち読み……としていて、安達茉莉子『転居、さわりなし』でスマホ使いてえ〜と何度か思った。エッセイに出てくるお店や商品を検索したくなったため。(後でやればよし。)
スマホがないゆえに、本と本をつないで共通する時代・描かれている同一の現象について併せ読みすることができた。ひざの上で小さなネットワークがうまれておもしろかった。

ペンネーム・アカウント名:陽子

2回目の参加でしたが、スマホを切った直後はソワソワ、15分ほどは落ち着かず、普段いかにスマホに依存しているかを痛感した。スマホがないと文中に出てきた言葉や人物等を調べることができないため、最初に取った本を読むのは諦め、メモも取らなくてもいいであろうと予想される軽めのエッセイを読み進めた。
他人が周りにいる環境で読書するということが滅多にないため、本の海に潜り切る前に睡魔におそわれてしまった。
本に集中できている時間→他の人の音が気になる時間→うたた寝time…が、周期的に訪れる感じであった。
このような環境での読書を積み重ねれば、だんだんと本に潜りこめるようになるのだろうか?
空いた時間を見つけて、スマホは家に置き去りにして図書館等で本を読む時間を作りたい。
そして、このトレーニングの効果を第3回で試してみたいので、機会がございましたらまたよろしくお願いします。

ペンネーム・アカウント名:とり

途中、何度かうとうとしてしまいましたが、いつも家や仕事場にいる“自分”を服を脱ぐように一度外して、「ここには今、1人の人間と1冊の本がある、ただそれだけなんだ」と集中したら、本が、文字を追うこの行為が、あたかも瞑想のツールかのように地下へ地下へ地下へと深いところへ連れていってくれました。椅子にもたれた背中や床についた足から細い根がのび、この時間と空間に根づくような感覚がして、この読書時間がとてもはっきりと固まっていくのを感じました。

ペンネーム・アカウント名:くみこ

自分で思っていたよりもずっと深く、本の世界へもぐることができました。
普段であればすぐにけいたいをとり出して気がちってしまうところを、物語の中に身を置くことができました。
私にとっては、けいたいから離れるのは、映画館で過ごす時間と、今日くらいのものです。
貴重な時間です。
また、電車の中や、待ち時間のひまつぶしで読書することが多かったので、よし本を読もうと、と決心して過ごしたこの時間が、とても心地よかったです。
あっという間でした。参加できてよかったです。ありがとうございます。

ペンネーム・アカウント名:マガリ図書

仕事の都合上、常に電話に出られる体勢をとっているため、本を読むことのためだけにスマートフォンをOFFにすることは本当に精神的に休息をとれるような、ぜいたくで心地の良い時間でした。
家で読書をすることも、もちろん好きですが、程々のパーソナルスペースが確保された状態で、図書館より風通しが良く、誰かが本をめくったり、お茶をすすったり、おせんべいを良い音をたてながら思い思いに過ごされている気配を感じとりつつ、読書に没頭できたことが本当に良かったです。おそらく、スマートフォンが使える状態で時計をちらちら見ながら読書をするときより倍くらい読み進めることができたように思います。
また、最初は感想を忘れないようにと、普段はスマートフォンにメモしているところを手書きでノートに書き留めていたのですが、思いがけず、思考を吐き出すことができ、より読書に集中することができました。
今後の読書にも活用してみようと思います。

ペンネーム・アカウント名:まこ

お茶を飲み、お菓子をつまみながら読みたかった本にゆっくりと目を通す…
今日のこの時間が、私にとっては本当にぜいたくで幸せな時間でした。
このような面白い、素敵な場を提供して下さった主催の皆様やこの時間を共有して下さった皆様にお礼を申し上げます。
私は昨年仕事を辞め新潟に引っ越してきました。
日々の家事・雑事は色々あるにしても、以前より時間ができたはずなのに、本を読めてなくてなんだかもやもやとしていました。
結局時間ができても、目先のやることとスマホに時間をつかっています。
手軽で便利なものを手にした代わりに、読書体験を失っていました。
スマホの電源を切る勇気、これからは少しずつ日常にとり入れて、読書の喜びを人生にとり戻していきたいなと思います。
あと、時計を買おうと思いました。

ペンネーム・アカウント名:亀貝太治
今日読んだ「みえないもの」イリナ・グリゴレ が、自分の日本語カンカクと違うかんじで慣れなくて、「ヤンキーと地元」と併読した。
一冊に全集中した前回に比べ時間があっという間だった。やっぱり最初のカンカクって特別だ。
この時間にも少し慣れたように思う。
スマホなしの読書における、斉藤さんいわく「筋力」が少しでもついているといいのだけど。おかしがみんな美味しくてムシャムシャずっと食べてた。呑み会明けの午前に読書三昧。なんてぜいたくなんだろうと思う。定期的にこういう時間を持ちたい。

次回のこと

初回の体験は本当に特別でしたが、「スマホ無しで半日読書に没頭」の希少性・重要性については、1回目より実感できた位です。今後も定期開催を考えています。
次は秋の程よい季節にぜひ開催したい!のですが、最近の秋って、ずっとずっと残暑が続いて、すぐ冬になるイメージですよね…。イベントラッシュもあり日程決めに悩みそうです。
来年春は4月に必ずやりたいです!
告知は、医学町ビルのインスタ、Xで投稿します。Xはあやしいのでインスタがお薦めです。
https://www.instagram.com/igakucho_bldg/
https://x.com/koshijinkai