「本の海に潜る日 inspired by 沈思黙読会」開催しました。
2024年の七夕の日、以前より企画していた「本の海に潜る日 inspired by 沈思黙読会」の第一回を、当事務所のある医学町ビル2階201号室で開催しました。参加いただいた皆さん、ありがとうございました。
【開催にあたっての告知文】
あの本もこの本も、時間をとってゆっくり読みたい
だけど何故か、集中できない
メールが、家事が、子どもが、夫が、妻が
スマートフォンが
自分の気持ちが
身の周りのあらゆることが
気になって邪魔をする今や夢のように思える
スマホなしで読書に没頭できる時間を
医学町ビルで味わうために企画しました
朝8時からお昼まで
スマホを切って、何者にも邪魔されず
だけどやんわりと一人じゃなく
美味しい飲み物やおやつを脇に
心ゆくまで本の海に潜る時間。
お昼には美味しいお弁当をいただき
その後に「読書体験について」の
アフタートークを行って、解散します。…
日時:2024年7月7日(日)8:00〜13:00
会場:医学町ビル201号室
会費:¥2,000(お弁当代含む)
申込:インスタのDM他
韓国文学の翻訳家で、近年は自著も出版され、個人的に大ファンである斎藤真理子さんが、東京で定期的に開催されている「沈思黙読会」。ラジオや新聞でのインタビューを読んで俄然興味を持ち、医学町ビル201号室という格好の場所もあることで開催に至りました。インスタやスレッズで興味を持ってくれた知り合いお二人と相談しながら実施しています。
【当日のタイムスケジュールなど】
参加者9名。
8時開始で、11:45まではただひたすら読書。
ドリンクやお菓子は用意していましたが、途中で買いに出るなども自由。スマホを切る他、WEBは一切見ないことが決まりです。本は何冊でも好きなものを自由に持ち込んでいただけます。気分を変えたい時のために、こちらでも10冊ほど用意しておきました(読んでいた方もいらっしゃいました)
11:45からはアンケート書き。12:00からはランチタイム。菜の花キッチンさんにお願いしたとっても可愛くて美味しいお弁当。12:20頃からアフタートーク。コピーをとってお返ししたアンケートをもとに、読んだ本の感想ではなく「読書体験」自体についてのお話をお聞きしました。
お弁当写真 by nao.iizuka_さん
【アフタートークの内容】
東京の「沈思黙読会」の話を聞いて興味深かったのが、
「みな同じだと思っていた「読書」体験が、実は結構違っている」
でした。
今回も「読書に集中する」ことの条件が人それぞれで。音楽のこと、雑音のこと、その他環境のこと。すぐに没入できる人もいれば、読書は無音派で、最後まで集中できたりできなかったり、という方も。
あと読書の方法の話で「頭の中で文章を順に読んでいく」派と「写真のようにぱしゃっと記憶する」派がいることを斎藤さんの話で聞いていたので、それも聞いてみたら9人中2人が「写真派」だったり。
アンケートはその場でコピーをとって返却。アフタートークはその内容を中心に話していただきました。内容は掲載許可済みでこの投稿末に掲載しています。
読書の途中で知らないことをスマホで調べて>SNS見ちゃって>ネットサーフィンがはじまり>はて自分は何を探していたんだっけ?みたいなあの現象がないだけでも、相当普段とは違う時間の使い方ができたのではと思います。ほとんどの方は、いつになく集中して読書に臨むことができたそうです。
参加された皆さんのアンケート
以下許可をいただき掲載いたします。
ペンネーム・アカウント名:亀貝太治(発起人)
最初はあまりに静かで、逆に集中が削がれるのでは?と思ったのだけど、そのうち本の内容にどっと集中するようになった。こんなに集中できたのは他に覚えがない。たまたま今日読んだ本が素晴らしかったから、なのか。
この本の内容と、東中通りの街路樹や青空のビジュアルがセットになってずっと忘れない記憶になりそう。
何冊も併読するのが常なので今日も何冊も持ってきたのだけど、まったく他の本を読もうという気にならなかった。そして時間はとても長く感じられた。8時から11時、いつも仕事をしているとあっという間なのに…。
1冊の本に心から没頭できた日だった。読了後はしばらく、他の本を読む気が起こらなかった。
ペンネーム・アカウント名:ゆうこ @ruth_blackett_(発起人)
医学町ビル201号室に身をなじませて本に没頭するまで30分くらいかかったでしょうか。持参した本(ZINE、小説、エッセイ、写真集……)を拾い読みしながら、他人の気配を近く遠く感じながら、ピントの合う本で落涙したあたりから落ち着いてきました(緊張が解けたもよう)読書したい魚(人)だけがいる水槽の中は水が合うようです。
図書館や喫茶店でもこのたぐいの(読書への)没入ができる時もある。けどインターネットと通知の介入はまぬがれない。から、今日のこの感覚は特別得がたいものでした。
(以下、欄外メモ)
・夜にも雨の日にも試したいです
・明治アーモンドチョコとSugarcoatのクッキーを食べまくった。カリカリ系。
・飲み物はホットコーヒー → アイス白桃ルイボスティー(MUJI) → ホットシナモンティー
ペンネーム・アカウント名: nao.iizuka_(発起人)
あらためて読書中に身に起こることに意識を向けて見れば、頭の中には文字が声になり絵になり、自分の中で展開されていって読書となっているのだなーと感じました。途中ねむくなって10〜15分(体感)ねたり、ちょっと外に出てそとの気温にじわっと触れてみたり。時間過ぎ方もその時間時間で体感も変わり、読む本によって自分をとりまくムードというかモード?も変わるこの感覚は初めてというよりなつかしいみたいな感じでした。
授業中にみんなが静かにしている中こっそり読書したり外の景色をボーっと眺めていた学生時代のことも思い出しました。
潜る感覚がここちよかったです。
ペンネーム・アカウント名: ino
素敵な企画をありがとうございました!
全部読み切れなくてもいいやと思っていたのに持ってきた本(プラスご用意くださった本2冊)を読むことができました。
あらためて自分が用意した本、選んだ本をみてみると自分の心が自分の目線がどこへ向いているのか、どこへ向かいたいと思っているのかをみつめることができたように感じます。加えて、普段いかにスマホやネットに時間を割いてしまっているか、ちょっぴりこわくなりました。すべてが悪いことではないですが、もっとゆっくりじっくりしみこみ流れていく文字や体験こそ確かに自分の一部になっていくのだよなぁとほんの少しでも今日のような時間を持ち続けたいと思いました。
ペンネーム・アカウント名: yoko
参加する前は「誰かから緊急の連絡が来ないか?」と、スマホが気になって読書に集中できないのでは?心配だったが始まってみたら、スマホはなくても全然困らない、気にならなかった。ただ、周りに存在する見知らぬ人の気配、発生する音、BGM(普段読書する時は無音派)に集中力を持って行かれ、読書したようで(2冊読んだけど)、していないような感覚だった。文字を目で追っているのに、内容が頭に入って来ず、「何って言ってたっけ??」と戻って読み直すこともしばしばだった。
終始、周りが気になっていた訳ではなく、気にならない時間帯(これが読書に没頭していた時間なのかは定かではないが)もあった。
回数を重ねれば、気にならない時間帯が増えるのか?が気になるところです。
全員が同じ本を読んで感想を共有するスタイルだと、恐縮してしまうので、各自好きな本を持参するスタイルでよかったです。本日はどうもありがとうございました。
ペンネーム・アカウント名: dkmr_538
読書の時間が作れない日々なので、こういった機会を設けてもらってうれしいです。強制的に本を読む時間を作らないと全く読めなくなってしまいました。スマホの電源を切る、ということに最初は勇気がいりました。数時間切ったところで何も影響はなかったです…。
時間の経過がゆったりしているなと感じながら過ごしたのですが、終了時刻が近づくとあっという間だったと感じ、不思議です。
全員が本を読んでいる空間は心地良かったです。
気候が良ければ屋外で風を感じながら本を読みたいな〜と思いました。これから夏本番ですが。途中でコンビニに買い出しに行こうと思っていたのに、あっという間に時間が過ぎてしまいました。なぜだろう。
ペンネーム・アカウント名:torico
子供や親、誰かの世話があるとかではない気ままなひとり暮らしなのに、読みたい本にじっくり向き合えない自分。そんな気持ちを抱えている時にたまたまこのイベントを知り、とても参加したいと思った。
「こんなイベントに参加するんだと周囲に話してあれば、メールの返信が遅くても心配されない。」
とかそんな風に思うから家にいても自分だけの時間を作ることが出来ないのだろうなと気づくきっかけになった。読書会、最初は自分以外がいる空間に少し緊張したが、だんだんと慣れ、本の世界に集中できた。空が見え、心地いい音楽が流れていることも良かった。流れいく雲をぼ〜っと見たり、読書以外も楽しめた。
友人数人とこのような会をするのもいいなとか、自分ひとりでも「イベント」にしてしまえばいいなとか思った。
ペンネーム・アカウント名:ちえこ
集中して長編小説を読むことができ、とても楽しく過ごせました。
自分でも自宅やカフェなどでやってみようと思います。
機会とすてきな場所をご提供いただき、ありがとうございました。
ペンネーム・アカウント名:紅葉
3.5時間、集中して一冊の本に向き合うことができました。
今回読んでいた本は非常に難解であり、集中を切らすモノがあれば読み進められなかったと思います。
(判読不明・中略)立ち止まって考えることが難しい時代だからこそ、深く思索することができました。
【まとめ】
読書の中身も、集中の方法も、やはり人それぞれでした。
ですが、およそ多くの人が落ち着いて読書できる環境づくりは見えるように思いました。
一人だけの読書でなく、
知らない人に囲まれたカフェや図書館でもなく、
目的が同じことは知っているが、友人ではない、微妙な知り合い?に囲まれて、長時間同じ「読書」体験をする。
このことの特異さが「沈思黙読会」ならではなのかな、と今のところは思います。友人ばかりだとやっぱり話しますよね。
【個人的な感想】
「201号室を居心地良くして、ドリンクやおやつとかも用意して、ずっとダラダラみんなで本を読む会ができたら、なんて楽しそうだろう」
と思って実際した当イベントなのですが、やってみると実際は、
「読書に集中してしまって、本の内容と、面白くて泣いて笑ってたこと、その脇から見えた新大病院の青空しか憶えていない」
のでした…
いつもの「医学町ビルでイベントやった感」がさっぱりないことに驚きます。今日の印象の殆どは
イ・スラ『29歳、今日から私が家長です。』
に持って行かれた!素晴らしい一冊でした。
事後に主催者と交わしたやりとりの中「イベントっていうか、医学町ビルでゆっくり過ごしたっていうか」という表現があってその通りだと思った。
ほんと、ある意味いつもの読書時間の延長でもあるのだけど、そのちょっとした違い(スマホを使えない・同じ目的を持った人が同時に体験する)が、でもやっぱり改めてちゃんとセッティングしないと実現できないことだったりして、少しの違いだけど、きっと大きな違いでもあるんだろうなーって。
秋頃にまた開催したいと思ってます。参加されたい方はハッシュタグ「#本の海に潜る日」をフォローしておいてください。