Column代表亀貝のコラム

仕事の進め方を知りたい方へ

date - 2022.05.05

式典開催と、当社への依頼

去る9月19日(土)に、村上の藤基神社様で、戦時中に失われた青銅大燈籠の復活と、村上藩内藤家立藩300周年を祝う式典が執り行われました。

在りし日の青銅大燈籠(大正6年・モノクロ写真に着色)


戦時中から2019年までの状態(2019年夏撮影)


2020年9月に復活した青銅大燈籠

※感染対策のため、当初予定されていた一般の方を招いての大規模な舞楽奉納演奏や村上藩主肖像画公開などは中止となり、来賓の方のみを招いての式典となりました。

当社では2019年秋に、青銅大燈籠復活のための寄付パンフレットを制作しております。↓こちらです。

村上:藤基神社「青銅大燈籠復元への寄付」パンフレット


藤基神社様から2019年2月に初めてご相談をいただき、その後約半年をかけて調査・企画をたて、同年秋にパンフレットが完成します。
そのパンフレットを利用したPR活動をはじめられてから、約1年。

ご相談当初は目標額(約1300万円)のおよそ半分であった寄付金が、
その後復活可能額に達し、建造決定とのお知らせをいただいた時は、当社としても感無量でした。

私達の仕事とはなんだろう

当初は「寄付を募るパンフレットを制作して欲しい」というご依頼・ご相談だったのですが、
そのスタートから現在に至るまで当社と藤基神社様との間でやり取りした、大まかな内容を、およその時系列に沿って、以下に記録しておきたいと思います。

以前医学町ビルで開催した自社の紹介イベント「縁日」で、たとえば1冊のパンフレットを完成させるまでに当社がどのような仕事をしていくのかをご紹介したのですが、殆どの方が「デザイン会社って、そういうことをやっているんですね。知らなかった…」というような反応でした。

仕事展『縁日』レポート


弊社は名前に「デザイン」と付く会社ですので、いわゆる「見た目を整える・カッコ良くする」仕事を主にやっていると思われがちなのですが、そのような「見た目を整える」という意味で使われる「デザイン」作業は、実は最後の最後、全体からするとほんの少しのボリュームです。つまり、それ以外は他のことでクライアント様とやり取りをしているのです。

(イベント『縁日』での経験から、私達のそういった仕事内容に関して、恐らく一般の方やご依頼いただくクライアントの皆様にお伝えできる機会がなかなかないのではと思いまして、今後も機会があれば記録していきたいと思います。今回掲載を快諾いただきました藤基神社の小島盛康様・小島卓様には心より御礼申し上げます。)

最終的に成果物としての「パンフレット」が出来上がるまで、当社ではどのようなことをしているのか、少しでもお伝えできれば幸いです。

私達は「見た目を整えること・カッコ良くすること」のみが「デザイン」だとは考えておりません。
●クライアントのビジネススキームを整えること。改善すること。
●社内環境を改善するために何ができるかを一緒に考えること。
●目下の目標を達成するために何が問題で、何ができるかを一緒に考えること。
●これらの目標のために、何を制作するか・どう伝えるかを考えること。
これらすべてを「デザイン」であると考えます。恐らく他の同業の方も皆同じだと思います。

 

 

 

依頼から完了まで、実際の流れ

(プライベートに関わる詳細は省いております)

●最初のコンタクト
〜WEBサイトのコンタクトフォームよりごお問い合せをいただきました。燈籠の寄付と現在の状況、寄付を集めるためのパンフレットの制作依頼でした。
【見積】
まずは現状での概算見積をご希望でしたので、仮に算出して提出しました。

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●依頼決定〜今後の進行について確認
〜概算見積を受けご依頼決定。パンフレットを作る前に、目標と、現状の状況について詳しく聞かせて欲しい旨をお伝えします。

このように「パンフレットを作りたい」「WEBサイトを作りたい」という具体的なご依頼があった場合は、まず最初に目的と現状のビジネス全体についてお伺いして、「何故パンフレット(WEB)を作るのか」「その目的を果たすためにパンフレット(WEB)が適しているのか。他に必要な媒体はないか」といった内容について、少し遡ってご一緒に再確認させていただきます。

この際当社で利用したのがマインドマップです。複数の視点に跨る課題を全体から概観することができ重宝しています。

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●目標を達成するために何をすべきか
〜諸般の現状や、ターゲットへのアプローチ方法を検討し、パンフレットを作ることを決定。
ただし制作の前に、寄付事業そのものについて、再検討すべきこと・調べること・決めておくべきこと等をお話ししました。
【ゴール】
寄付者はどのような人なのか。その人達はどのような気持ちで寄付していただくのか。
【メソッド】
神社の歴史と価値を改めて確認。伝えやすいように整理するには。
【テーマ】
ここはどのような神社で、何故燈籠を復活するのか。この燈籠は誰が何の為に、何故「青銅」で作ったのか。何故消失して、どのようにして復活したいのか。復活するためには何が足りなくて、どのようにお気持ちをいただきたいのか。復活した折には何がどのように良くなるのか。青銅大燈籠の復活の意義とは何か。

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●調査と吟味
〜前項を受け、相当な時間をかけて、藤基神社様で古文書含めあらゆる調査をしていただきました。その結果判明した事実について更なるディスカッションを行います。その事実はどのようにしたら伝えられるのか。何を伝え、何を省くのか。どこをピックアップすべきなのかを吟味していきました。

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●寄付プラン自体の整理
〜寄付したいてだいた方へのリターンを改めて設定。既に寄付していただいた方へのフォローについても確認。復元した暁に行う記念事業について、企画と整理を行います。

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●パンフレットの使われ方について再確認
〜弊社が制作するのは今回パンフレットだけですが、寄付計画全体としてのプランを再確認します。
【考え方】
パンフレットは部数を増やすにも配布するにもコストがかかる。コストはコンテンツ制作にかけて、できたコンテンツをWEB(藤基神社制作)やマスコミ、SNSなどで拡散していく基本方針をご説明しました。全体の中でのパンフレットの位置付けやターゲットを確認し、さらに内容を吟味します。
【メソッド】
SNS展開のコツ。広報:プレスリリースの具体的な制作・提出方法についてご説明しました。
広告ではない「広報」のうち、自身でも行えるのがプレスリリース発行です。このやり方などを具体的にレクチャーします。
その後パンフレットの配布方法、新たなターゲットへのアプローチ方法についてディスカッションしました。
※今回の復活実現に至るまで、青銅大燈籠寄付を取り上げていただいたメディア一覧は、このページの最下部で紹介されています。

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●パンフレットの内容吟味
前項を受け、パンフレットの位置付けから郵便振替用紙の同梱などを決定。サイズと体裁、見られ方について確認します。
【メソッド】
読まれたい順序を整理:
藤基神社の価値について理解する>>青銅燈籠の説明>>歴史と概略>>Q&Aの設置>>知識だけではない「人」の「想い」を、宮司と禰宜の写真・コメントで訴求>>復活後の内容
まず読者の知りたいことを充足させ、復活の価値と意義について理解していただき、「人」の「想い」で共感して、寄付していただく、という流れを組み立てました。

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●パンフレットのワイヤーフレームを制作
実際のパンフレットのサイズの中で、何をどこにどれだけのボリュームで入れるか、ワイヤーフレームを制作して双方で吟味しました。

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●パンフレットの「見た目の」デザイン
ワイヤーフレームの内容がOKになった後に、見た目のデザインをご提案しました。

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●撮影と文章作成の詰め
必要な写真をデザインに沿って撮影し、文章について詰めていきます。

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●パンフレットの完成
内容がすべてOK(校了)になったら、印刷してパンフレットの完成です。

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●WEBページ作成についてのアドバイス
パンフレットの内容を流用して藤基神社様が寄付ページを制作されましたが、その内容や構成について、読者の目線・動線に沿った考え方で、アドバイスをさせていただきました。

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●他デザイン作業の発生

進行する中で、神社の御朱印、御守り、交通安全ステッカーなどのデザインをさせていただきました。

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●寄付の依頼について、藤基神社様の活動期間
パンフレット完成後の、藤基神社様の具体的な活動期間です。当社は関与しておりませんが、いただいた質問などにお答えしています。
今回の復活達成は、何よりこの期間の藤基神社様みなさまのご尽力があってこそ、です。相当ご苦労されたのではないかと思います。

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●復元の決定
今年の夏前に、寄付金額が復活可能な額に達し、製造が決まっているとの連絡をいただきました。

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その後、復活の大きな理由付けとなった「立藩300周年記念事業」の一つ、「ご神宝の公開」の準備の最中で、これまで門外不出で存在も明らかにしていなかった代々村上藩主の肖像画の存在と、これまで白い紙で覆われていたその下に肖像画が隠されていたことが分かり、新聞や各種マスコミで大きく取り上げられました。これらの肖像画は、9月19日の式典でも来賓の方々にはご覧いただきましたが、今後は11月3日(火・祝)~12月6日(日)の期間に村上市郷土資料館(おしゃぎり会館)で開催予定の『秋季特別展 内藤家移封300年展(仮)』で展示公開される予定です。

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●記念式典の開催
新型コロナウイルス感染防止のため、予定していた多くの内容が中止になってしまい、非常に残念ではありましたが、見事に青銅大燈籠は復活し、2020年9月19日に関係の皆様にお披露目されました。亀貝も式典にご招待いただき、当社の関与や経緯についても皆様にお話いただいて、非常にありがたく感謝しております。ご依頼いただきました小島盛康禰宜、小島卓権禰宜、ほか藤基神社ご関係の皆様、本当にありがとうございました。

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まとめ:私達の仕事とは

このように、いわゆる「見た目のデザイン」は、最後の最後に手掛けることが多く、そこまでの下調べや検討や試行錯誤がお仕事の殆どを占めるのが通常です。

藤基神社さんのケースは、なんの伝手もご紹介もなく、当社WEBのお問い合せフォームで「パンフレットを作りたいのですが…」から始まったご相談でした。

結果としてパンフレットは作りましたが、恐らく寄付に関してお役立ていただけたのは、物体としてのパンフレット以外の要素がとても大きかったのではと思います。藤基神社さんに限らず、当社のお客様にはこういうケースが多いように思います。

「デザインで「困った」を救う」のが、私達のしごとだと思っていますが、パンフレットやWEBサイト以外で救う・役立つケースだって多いんですね…。(最初に戻りますが、それらもすべて「デザイン」と考えています)

お困りのこと、まずはご相談いただけると嬉しいです。その後お仕事としてお手伝いできるかできないかは、別のお話ですし、私達は最初から仕事に繋げるために、お話をお聞きしたり相談する訳ではありませんので、どうかご遠慮なく、お問い合せください。