有元伸也さん写真展
砂丘館で3/22まで開催されている有元伸也さん写真展に行きました。
開催2日目に行って、その日にワークショップのことを知り、即申込みました。素晴らしい写真展でした。特に蔵以外で展示されているチベットのポートレート。自分は朝一番で行ったので、まだ館内は冷え冷えとしていて。
あのお屋敷の佇まいと、冷たいけどどこか豊かな空気に包まれ、有元さんの写すチベットの市井の人達の世界に、そのまま入り込んでいました。忘れられない体験でした。
3/1に開催されたワークショップのテーマは人物写真、ポートレートです。残念ながら雨天のために実践体験は中止となりお話のみでしたが、有元さんが影響を受けた、歴史的にも著名なカメラマンの写真をどんどん紹介しながら、自分の感じ方や技術的な解説を加える、という内容。
私は写真の勉強をしたことがないので、人物写真の歴史や技術的な変遷を知れたのはそれだけでも楽しかったし、何より目当てだった人物写真のコツ、明日から生かせる(笑)ようなポイントもいくつか聞くことができたのは収穫。有元さん自身の言葉でなく誰かの引用もありますが、いくつかご紹介。
「会話の距離と、カメラの距離は違う。(えてしてカメラの方が長い)」
「『ココだ!』と思った距離から半歩、もしくは1歩引くこと」
「横位置は客観目線」
「(相手と)話している距離からはじめて、どんどん引いていく」
「相手を日陰に入れて頭の上から逆光で目の中キラキラ作戦(詳細は図示が必要なので略」
「人とのコミュニケーションが苦手な人の方が、人物写真は良いと思う。何故なら配慮があるから。」
話が終ってからは、参加者が自分の撮った写真を持ち込んで有元さんに講評していただく時間もありました。5人位いらっしゃって、最後までは聞けませんでしたがこれも滅多にない機会。撮り方だけではなく、作品展や作品集にまとめる際のディレクター的目線のことも話されていて、あ、そうかと。
ちょうど同世代(1歳違い)ということもあり、話されるさまざまな「世界の見方」に共感したり気付かされたり。あとカメラマンは誰でも、人と対峙した時に少し緊張する、という話に救われる思いでした。
自分は、写真を撮るのは好きですけど、「人」にカメラを向ける時、対峙する時、常に罪悪感を感じます。何故写真を撮るのか。それは自分のエゴじゃないのか。「自分が思う自分の作品」に、他人を当てはめたいだけじゃないのか?その人の魅力を撮りたいのか、「その人の魅力を撮っている自分」の作品を作りたいのか?
人に対して「写真撮らせてもらっていいですか?」と話す時には、いつも後ろめたい気持ちで、何か悪い事でも話すかのように、こっそり聞きます。自分がそもそも、撮られることが好きじゃなかったから、というのも大きいと思います。そんなこともあって、常に人物写真に対する苦手感がありました。
その苦手感を少しでも克服したくて、今回のWSに申込みました。結果、直接的な解は得られなかったけど、なんとなく今後の気持ちの持ちようは少し定まった気がします。
●相手のことを写真に撮りたい、その気持ちを率直に、変に悪びれずストレートに伝えよう。
●写真を撮ることが悪い事だと思わずに、堂々とコミュニケーションをとり、堂々と撮影しよう。
●最初の声掛け文句や定例句を自分なりに育てよう。(学生の時なら「今写真を勉強しているんですが…」など、きっかけを掴みやすい文句があった)
●自分も、写真を撮られる時の苦手感をなくそう。
なんだか自分のツマらない話ばかりになりましたが、写真展お薦めです。
3/22まで。この機会をお見逃しなく!