Column代表亀貝のコラム

フリーペーパー『文学の新潟』

date - 2020.03.10

南陀楼綾繁さんが文章を書かれたフリーペーパー『文学の新潟』をやっと入手。新潟島のシモの方や古町、西大畑などのエリア毎に、その地域に縁のある文人たちの一節を引きながら、新潟の往年の光景を振り返る企画。別に坂口安吾と會津八一のページもあり。新潟市中央区発行。

引かれている書物は不勉強ながら殆ど読んだことがない亀貝ですが、現代と文献中の当時を繋いでいく構成が流麗であっという間に読み終える。面白い!

自分みたいにつまみ食いでそれらの文献を読んだ気・知った気になるのも楽しいし(普段読まない「詩」に引き込まれてしまって驚き)元々好きな小説や詩がある人には地域を通して他の作品に出会う機会になるだろうし、今も残っているお店や名残の話は町歩き好きな方に新しい切り口を見せてくれそう。

上田浩子さんのさすがの読みやすいレイアウト、大倉さんの編集が相まってすごくクオリティの高い1冊です。人気ですぐなくなっちゃうと思うので早めに入手した方が良いよ。西大畑・旭町界隈の各施設にあるそうです。
西大畑・旭町かいわいWEB(弊社制作)
同地区でのスタンプラリーも開催されてる

自分は幼少期まで日和山の向かいで生まれ育っているので、懐かしい地名が沢山出てくるし過去への想像も膨らみます。

新潟・浜際族にぐっとくる写真との組合せが絶妙で、最初に惹き付けられる『海と砂丘と洋館と』。当時の様子が活き活きと引用されかつてのシモ町の情景が目に浮かぶ「名作『砂丘物語』の舞台」。イザベラ・バードの時代から今までを繋ぐお店の物語が興味深い「花の新潟のどまん中(古町)」が特に好きでした。

※南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)さん:自分がニイガタブックライトをはじめるきっかけをいただきお世話になった、不忍ブックストリートの代表にして「一箱古本市」の考案者。本業はライター・編集者で新潟日報夕刊「おとなプラス」でも本名:河上進名義で(紙上ではペンネームが許されないんだって)定期的に読み応えのある記事を書かれていて、こちらも必読です。

>>南陀楼さんがFacebookでこうコメントされていました。
「ちなみに、私としては今回の仕事は、その地域のネイティブでなくても、熱意と読書と取材があればクオリティの高い出版物がつくることができるという例になればと思います。新潟以外でもいろいろできると思うので、ぜひ声をかけてください!」
南陀楼さんの「熱意と読書と取材」ほんとにすごい!そしてこの冊子を南陀楼さんに依頼する異人池の会さんのセンスがいいですよね。