9条問題
今まさに安倍政権が憲法改正に向けて突き進んでいる中、オススメしたい書籍がこちら。
筑摩書房
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これは2006年、前の安倍政権時代、改憲論議が政治日程に上がってきた頃、書かれた本です。2012年に文庫化された際に加筆がされているので、文庫の方がオススメです。これだけ日々情勢が変わっている中で殆ど中身が古びることがない、というのがまず驚き。文庫化されるのも当然でしょう。
私、今までは(というかテレビを観てた2年前位までは)結構たかじんの番組やなんかで改憲についてはほーなるほどなー。押し付け憲法変えるべきか。動かせる力を持つことが抑止力になるか。なるほどなー。的な考えを持っていましたけども。
この本を読んでかなーり思うところありました。
憲法で日本人が「矛盾」と捉える「戦争の禁止」と「自衛隊」の関係が、ルールを決めたアメリカにとってはいささかの矛盾でもなく当然の帰結であること。しかしそれを「矛盾として受け取るという病態を選択した」日本。護憲と改憲で国の人格を分裂してみせた日本。9条と自衛隊はアメリカから見るとまったく矛盾していないのに、ここから出発することを決して選ばずに「不整合に苦しんできた」と自らを分析する私達。何故そうなってしまったのか?
憲法というもの、そもそもの存在意義について。憲法は誰の為に誰を御するものか。ではどうあるべきか。現状に則していないから変えるという改憲論の本末転倒具合について。
自立した防衛力はどういう事態を想定して必要とされているのか?その現実は?
改憲の後に想定されるアメリカの行動とはなにか。その事実に私達日本人は耐えられるだけの心理的成熟を果たしているのか?
歴史の教訓が教えているのは、「現実」はいつも陰謀と闘争の歴史であったということではない。戦争そのものを否定するという迂遠な「理想」を軽蔑するものは、軽蔑されるような「現実」しか作り出すことはできないということである。
「現実」を創造していくという立ち位置を失えば、「現実」に回収される他はない。平川克美–普通の国の寂しい夢」
とんでもないことが起きようとしているんですね。