Column代表亀貝のコラム

ガンダムエースとF/style

date - 2009.09.09

現在発売中の『月刊ガンダムエース 10月号』に掲載されている富野由悠季氏の連載『教えてください。富野です』でF/styleが取り上げられています。

「あの」富野カントクです。我々ガンダム世代にとってはまさに神。あの富野氏がわざわざF/styleに逢いにこの春、学校町にいらっしゃってました。

この連載は富野カントクが気になっている様々な業界の仕事人と対談するもので、サブタイトルは「達人たちによるG世代への提言」です。とか言いながら表紙に一言も載っていない。誰も見つけられないって。

既に絶版になった単行本を読んだのですが、その対談相手のラインナップがすごい(↓)。業界めちゃくちゃ。なんでもあり。とにかく富野さんの興味の向くまま、あらゆるヒトと「あの」激論を交わす訳です。といっても富野さんの発言って普通喧嘩売ってるようなものばっかり有名で、このように「富野さんから積極的に興味を持ってインタビューする」というスタイルはあまり読む機会がなく、そのあたりの相手とのやり取りの微妙さ、ニュアンスが、また読みドコロの1つとなっています。
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さて、F/styleのこれだけのロングインタビューもまず他では読めないですが、相手が富野カントクですから、内容がすごいです。『エフスタイルの仕事』とはまた違った目線での「エフスタイルのしごと」が伝わってきます。製造業の現状の問題点は勿論、昔と今の人同士の繋がりの話、お互い痛みの分かり合えるような近い関係の大切さだったり、「大量生産」の概念が始まってから何がどのように変っておかしくなってしまったのか。両者の掛け合いの中で分かりやすく語られています。

富野 だから、あの本(『エフスタイルの仕事』のこと。亀貝注)の編集の仕方は正しいんですよ。エフスタイルの解説本だとしたら、あれは、すごくヘンな本なんですね。だって、いろんな製造業を紹介しているんですから。一見とッ散らかってるようだけど、僕にはそういう印象はなかった。つまり、あなた方は、広告塔なのかも知れないけど、そういう今流の言葉ではくくれない立ち位置にいるんだ、ということがちゃんと見えてるから、ヘンに感じないんですよ。

星野 あれはエフスタイルの本ですけど、うちの仕事は黒子業で、こんなにすごい人がいますよ、というのを紹介することなんですよ。ですから今回も、私たちは基本的には自分たちが主役になる取材は受けないんですけど、この対談は、ちゃんと全体を伝えてくれるなというのが分かったので、富野さんにもお会いしたいし、ぜひと思ったんです。ある雰囲気の作られた雑誌だと、その雰囲気に私たちをはめ込もうとするんですよ。

「教えてください。富野です」より

最初オファーがあった時は何かのスパムメールだと思った二人。しかもガンダムのことなど1つも分からない。そんな二人が取材を受けるに至った理由は、この取材のバックナンバーを読んで、富野さんのインタビューが、本当に仕事の本質を突いていると感じたからだと言います。

富野カントクは彼女たちの本を精読していて、取材の際も事務所にある製品をイチイチ、エフスタイルの代わりに(笑)同行スタッフへ説明できるほどだったそうです。

今エフスタイルも含めて準備している今年の「にいがた空艸舎」のテーマは、お仕事です。まさにこのインタビューを読むと仕事の何たるかを突きつけられて自分自身を振り返ってももイベントの内容を考えても本当に身が引き締まる思いです。
去年もそうでしたが、イベントの準備を通してスタッフ達から教わることは本当に多い。エフスタイルの二人からもいつも勉強させられています。教えていただいています。

富野さんと言えば70を越えた今もバリバリ現役で、最近も、今ドキクリエイターに向けたその辛口コメントをすごく気持ち良く読ませていただいていました。

以前記事でも紹介した、ITMedia News「富野由悠季さん、プロ論を語る
●ITMedia News「「僕にとってゲームは悪」だが……富野由悠季氏、ゲーム開発者を鼓舞

こんな2組が出会うべくして出逢い、素敵な記事を残してくれたことが、とても嬉しかった。

月刊誌なのでぼやぼやしてるともうなくなります。興味ある方はお早めにどうぞ。

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