Column代表亀貝のコラム

ニイガタブックライトvol.05無事終了しました。

date - 2013.07.08

すっかり遅くなりまして(もう1ヶ月前!)何を今更というかんじですが、「ニイガタブックライトvol.05 一箱古本市in現代市2013」無事終了しました。ホントに良過ぎる位良い天気でした。

レポートはニイガタブックライトのサイトにアップしています。次回に繋げる為に反省点を中心にしたレポートですが、毎回毎回、とにかく「楽しい!」というのが私の感想です。見える景色が楽しい。人とのコミュニケーションが楽しい。場が楽しい。流れる時間が楽しい。このフォーマットを考えていただいた不忍ブックストリート南陀楼綾繁さんに感謝の気持ちでいっぱいです。

さて、ニイガタブックライトのサイトでは言及しなかった、一箱古本市の翌日の、北書店でのBACH幅さんのトークについて少し。


翌日の6/10(月)の夕方から、北書店でBACH幅允孝さんのトークライブ「「本の声を聴け〜幅允孝 トークライブ」が開催されました。聞き手は勿論、北書店・佐藤店長。今年の春に鎌倉ハウスで開催されたイベントで2人は初めて一緒になったそうなのですが、そこでのトークが非常に盛り上がり、時間がいくらあっても足りない位だったそうなので、その続編をやろうと企画されました。

細かく書いてしまうとズレが怖いので、メモ書きの体裁で記録しておこうと思います。当時とっていたのがちゃんとした記録ではないので、どうか元々の本意と違っている可能性もあるという前提で、お読みください。

●幅さんの仕事は最近、棚を設置する場所に訪れる人との会話が重要。そこから何を引きだすか。引きだせない場合質問の角度を変える。(例)駿台予備校の本棚。学生に聞いても「本なんか読む気はない。そんな時間があれば勉強したい」になってしまう。ならば「なんで東大行きたいの?」と変えてみる。その結果、東大出身の誰それ、教授の誰それのこんなテーマで…のブックセレクトになったり。

●幅さん:「ネットの発達で、『読んでないけど読んだふりのしやすい時代』」
※これは「ふりをする」だけじゃなくて、本人がそもそも読んだ気になってしまって上っ面の情報だけで満足してしまい次に続かない、という意図が多く含まれていましたようです。
幅さん「だからこそ、血肉になるような本を」

●幅さん:読書に興味のない人に「読書しろ」といっても無理。そういう人にどうやって「手に取らせ、本を開かせるか」の仕掛けが自分の仕事。

●※ここで幅さんの仕事と佐藤店長の仕事の明確な違いが浮き彫りにされます。
幅さんは、本を「手に取らせ、開かせる」までが仕事。
佐藤店長は、その本に「自分の金を出して、買わせる」までが仕事。
2つの仕事は似ているようでいて、目的が違っているのです。

●幅さん:本には即効性はない。だけれど耐性ができる。世の中の色んな困難に対して耐性をつけることができると思う。

●幅さん:やはり本屋はやってみたい。だけどその時は今の商売はやめなきゃいけない。両立はできないと思っている。

●幅さん:理想の本屋は決まっている。一見普通の街の本屋。おばちゃんにも買ってもらえるような。だけどあるドアを開けるとそこは小さな別世界。すごいセレクトが揃っている。インテリアもまったく別世界。そんな2段階のお店がいい。

●佐藤店長:本棚は結局場所が足りないという問題がある。どんなにあっても足りない。新幹線の高架下を見ながら、この下をずーっっと2kmくらい本棚にしたらどうなるだろうって妄想する。具体的なことも。ここからここまでが○○コーナーとか。

●幅さん:SNSは一切やっていない。FacebookでスタッフがBACHとして情報をアップしているだけ。そんなことをする時間があるなら本を読む。

●幅さんは、前評判通り本当に気さくで話しやすくて、まったくこちらに緊張させない方でしたね。前の日に飲みに行った時は、私が一箱古本市の疲れと一次会の飲酒でつぶれる寸前だったので、もっとお話をしたかったなぁと残念でした…。
佐藤さんとのトークの相性も良い。というか幅さんが色んな人に合せるのが本当に上手な人です。

●本や取材で何度も言っている同じ内容を、省略や変更なくきちんと繰り返して話す、ということの重要性・プロ意識というのを幅さんを見ていて感じます。これまでは雑誌や書籍の文章を通じて感じるだけでしたが、実際目の前でそうやって話されるのを聞いて、一層そう思いました。

●幅さんはご存知の通りマガジンハウス系のお洒落雑誌やさまざまなお洒落スポットに関わり、それこそ情熱大陸に出ているような方ですので、親近感というよりも、いまどきのイケてる方、という印象が強いと思います。だけどこれは菅原神社で幅さんが出店の準備をするのを脇で見ていた方から聞いたのですが「脇から見ていても『ああこの人は本当に本が好きなんだな』ということが明らかに分かる」と。「バッグから本を取り出して、ああでもないこうでもないとやっている様子が、心から嬉しそう」だったそうです。

●月曜日は、幅さんが一箱古本市で買った本で北書店に棚を作る、という企画があったそうですが、ここでの様子も同じようだったみたい。というかこの棚の本は当初販売する予定だったのですが、「好きで買ったんだから、やっぱ売りたくないよね(幅さん)」となって、裏に金額は書いてあるのですが、その脇に「できるなら…買って欲しくないのですが」「いちおう○○○円ですが…えっ!買うんですか?」などと書いてあり、買いにくいことこの上ありません。

幅さん、是非また新潟に来て欲しいです。